番外 スラタニ人情旅行記(2003年4月)

先週末、スラタニへ行って来ました。

内心、行くべきではない、行くべきではない・・・と思いつつも、好奇
心が先走ってしまい、コレもネタにしたろ〜などという、下心もバリバ
リ。そして、何よりも崖の上から、何度突き落としても這い上がってく
る、T君が面白くて(Sかい?自分?)。さくらこからの譲歩案は

「親には、恋人ではなく、友達ということで、紹介すること!」
「2人だけではなく、数人で行く事!」

を条件に、T君、T君の実家の近くに住む友達とその家族、さくらこの
友達、さくらこという、大所帯で、土曜日の夕方、車に乗り込んで、
スラタニへGOGO〜♪

そう、タイの国内旅行は、友達と車を借り切ってワイワイというのは
最高に楽しいスタイルなんです。タイ人は、他県に行くのでも、
「XXの国道沿いにある、トムヤムクンがウマイ!」とか、「XXの名
産のXXという名前のお菓子をお土産にしよう!」とか、詳しい、詳し
い。実際、プーケットからスラタニまでは、車で約2時間半ぐらいの距
離なのですが、寄り道寄り道で、結局3時間以上もかかりました。

まずはパンガー県のKOKKLOY(先週書いた、温泉ホテルの手前で
す)で、オイシイ蟹料理の店があるからと行って、立ち寄る。パッポン
カレーを大勢で、ガシガシ食べる。そのあと、T君が病気のお母さんに
持って行くということで、その少し先のGS内コーヒーショップにて、
ノム・カポート(とうもろこしミルク)を買う。

これ、初めて見たんだけど、あまーい香りで、味もまろやかで、おーい
しーーー!! ちなみにパンガーでもあまり売っているのを見かけない
ということ。プーケットでも見たことなんてありません。車の中で、ノ
ム・カポートを啜りながら、皆でべちゃべちゃとお喋り。この頃には、
すっかり皆知り合いとなっていました。タイ人って、誰とでもすぐ、昔
からの知り合いに意気投合するんですよね。

パンガーから、クラビを抜ける頃には、夕暮れに差し掛かっていました。
クラビというのは、切り立った大きな山やがけに囲まれた、不思議な周
波があたりを取巻くところで、この風景は大好きです。特に夕暮れ時は
エキゾチックで、この風景を見れただけでも、来てよかったなぁ〜と、
本来の目的は丸無視して、さくらこは一人ご満悦でありました。

その後、スコーピオンズ(←何故か人気)をガンガンにかけながら、車
内でお喋りやら、ゲームやら、T君の友人の子供と遊んだりしながらで
スラタニ入り〜。まずはお母さんのいる病院へ。友達夫妻も、お母さん
と知り合いということで、大勢で病室へと押しかける。(←このヘンも
タイっぽいなぁ〜)

病院は、田舎のさびれた病院で、さくらこを見ると、みんな固まってい
る。外人おらんのか?! きっと頭の中で、英単語を並べたり、聞きか
じりの日本語(アジノモト〜)とかを、必死にまさぐったりしてるので
はなかろうか? いいです、固まらなくても。タイ語バリバリだっつー
の。 しかし、一番固まっていたのは、T君のお母さんと、付き添って
いたメイドさんであった。そしてもう一人、T君のそばにくっついてい
る、可愛い10歳ぐらいの女の子・・・親戚の子かと思いきや、T君の
娘さんであった。ひゃ〜っ。発覚、バ、バツイチ、子持ち〜?!

「T君のプーケットの【ともだち】(←心なしか強調気味で)ですっ!」
と自己紹介。その後、病気の親と、娘を押し付けられるのが怖くなり、
さっさと車へ退散・・・。

病院を出た後、T君の娘も車に同乗し、T君の家と、友達夫妻の家へ。
で、電灯が・・・ない。大通りにはあるけど、ちょっとはずれると、電
灯もなく、道路はでこぼこ。道があるのか、ないのかわからないような
林の中を入っていく。虎とか生息しているのではあるまいか???
T君の実家はみんな留守だったので、用事をすませると、すぐに友達夫
妻の家へ。ここへいく道のりも、暗くて、一体どこをどう走っているの
か見当もつかないぐらい。T君曰く、明るい時には、小川と滝が見える
とてもキレイなところらしい。ふと見ると、お約束のように、携帯の電
波もない・・・周囲に民家もない・・・エンストしたら最後・・・ふはははは。

友達夫妻の家は、真っ暗な中にぽつーんとある家〜。さ、さみしー。
周りは真っ暗で、何も見えない。見渡す限りの闇である。
こんなところで生活・・・プーケットがいきなり大都会に見えてきた。
友達夫妻の家は、子供がごろごろいた。(何か、妙に納得)

家の前で、T君の娘と少し話した。両親の離婚で、父親といることを
望んだらしい。T君はプーケットに出稼ぎ中なので、おばあさんに預け
られているのだが、やっぱり父親といたいみたい。今は、休日に父親が
戻ってくることが、唯一の楽しみ。T君は会社を軌道に乗せて、家を買
ったら、プーケットに娘を呼んで一緒に暮らすと話しているらしい。
うぉぉ〜・・・目頭が熱くなる〜。

タイでは、両親が働きにでて、親戚やジジババに子供の世話を任せる家
庭も少なくない。それがT君のように他県に出稼ぎに行くのも、結構普
通の話である。親戚の家の中で、子供はたくましく育つ。順応性を身に
付けていく。集団で生活するルールを自然と体得していく。家の中にい
るものが自然と家事をし、年下のものの面倒を見、大人の仕事を手伝う
ので、タイ人は、料理も上手だし、仕事も何でも器用だし、男でも家事
が得意なんだなぁーと、家のルールを垣間見た気分。

子供が両親と一緒に暮らすことが当たり前の感覚の私としては、タイの
子供がものすごくいたいけで、苦労していて、我慢もしていて、それで
も明るく笑っていて・・・と、心にくるものがあります。日本の甘った
れたアホガキも、こういうところでホームステイとかしてみれば、人の
痛みが分かる人間になろうというものです。

最後にスラタニで、オイシイと言われているレストランで、タイ料理を
食べました。時間すでに夜9時。みんなお腹がぺこぺこ状態だったので
がっついていました。もちろん料理もおいしくて、トムヤムクンが最高!
南部の料理は辛いというけど、ここも激辛でした。ごはん3杯もおかわ
りしちゃったよー。

観光旅行というよりは、色んなことを考えさせられる旅行になりました。
さくらこは色々と得るものがあって良かったけど・・・?
とりあえず、T君のお母さんは、お見舞い後、回復に向かい、今週晴れ
て退院できるとの事。T君には、さくらこが行ったことで、とっても
感謝されました。日本人的には、私のやってることはOJという彼氏が
別にいる身でありながら、T君やT君の家族に気を持たせるようで、無
責任と言われても仕方がないことですが、同行したタイ人の女友達曰く
「いいんじゃ〜ん?別に深い意味なんてないよ〜。友達だって〜。」

・・・だそうで。

やっぱり「マイペンライ」な訳なのね。何事も。



スラタニ人情旅行記・続編(2003年6月)


ある雑誌で、木になっているマンゴスチンの写真を見て以来、その
可愛らしさの虜になってしまい、いつかマンゴスチン畑で赤く色づ
いたマンゴスチンを収穫してみたいなぁなんて思っていました。

そのことをT(久々に登場)に話したら、Tの実家の裏には
広大なマンゴスチン畑があるという。それだけではなく、ドリアン
畑、ジャックフルーツの木、パパイヤ畑、バナナの畑があるという。
どうやら親戚の誰かが農家を営んでいるらしい。

今、ちょうど実が赤くなりだす頃で、ドリアンも収穫期を迎えると
いう。先日のオレンジ狩りで、すっかり「もぎたてフルーツ」に心
を奪われたさくらこは、とりたてのマンゴスチンを食べてみたい…。
という欲望にとりつかれ、Tと一緒にマンゴスチン狩りに行くことにした。

そしてまたスラタニへドライブ旅行と相成った訳です。

マンゴスチン狩りをするなら、どんな格好がいいかしらん?
などと自分なりにカントリー系を意識したコーディネートをして
いざ、車にのってスラタニへ。今回は大人数ではなかったため、
とうもろこしミルクを3本買っただけの寄り道で(←これだけは何
があっても忘れない)、なんと2時間半でスラタニへ到着しました。
は、はえ〜。

さ、畑、畑! と、マンゴスチンの木が連なる森を探してキョロキョ
ロしていましたが、車はなぜか寂れた小学校へ。

「・・・???」

一瞬何かと思いましたが、Tが娘を一緒に連れて行きたいというので
体育の授業中の娘を、先生に話しをつけて、一緒に連れ出す。
あ、あの〜。。。マンゴスチン狩りに行くっていうのが、早退の理由
になるんですか? タイの小学校っていうのは、一体?

先日は真っ暗闇の中だったので、どこをどう走っているのか良くわか
らなかったのですが、昼間見ると、高いゴムの木が並んだ林の中に、
やっと車一台が走れるようなでこぼこ道で、その緑に囲まれた風景と
いうのは目に麗しいものでした。緑の葉っぱのカーテンの中に、いっ
ぱいに降り注いだ太陽の光がきらきらしていて、ああ、なんてカントリー。
だんだんムードが高まってきました。

Tの家の裏には、話の通り、ドリアンの木が!ジャックフルーツの木
が!どちらも大きな実をつけているー!そして可愛いパイナップルも!
夢中で写真を撮る、おのぼりさくらこ。

 ドリアン ジャックフルーツ

緑のトンネルの中にいると、キーーーンという、不思議な耳に涼しい
音がする。これは何の音かと聞いたけれど、Tにも、娘にも聞こえな
いという。多分、何か、森で発生している摩訶不思議な空気が耳に届
いたのかもしれません。

Tの家は、母親は病院にいて、娘はおばさんの家にいるため空家にな
っているが、高床式で、木を貼り付けただけの家はTが自分で建てた
ものだと言っていた。(3匹の子豚にでてくる、すぐ壊れる家のよう〜)
古びた主人不在のハンモックで、緑のトンネルの奏でる音を聞きなが
ら木の高いところにいくつも実をつけているドリアンをぼんやり見た。
あんな高いところにある実を、どうやって採るんだろう? なんて思いながら。

さて、マンゴスチン畑に行こうということで、車で山に出発。
家の裏には、見事なパパイヤの木が並び、バナナも大きな房を
たくさんつけている。ああ、期待が高まる!

大通りを渡って、車はものすごい山道へ入っていく。
道があってないような雑木林の中を、がんがん登っていく。
(スラタニにマンゴスチン狩りに来る方は、4WDジープが
お勧めです。。。いないか、そんな人。)

こ、こ、こんな山奥、しかも人里はなれた雑木林の中にマンゴスチン
畑が??? 30分ぐらい走ったところで、急に不安になるさくらこ。
よかった娘がいて。。。と心から思った瞬間でした。
山のてっぺん近くになると、もう車がぐおん、ぐおんって岩で跳ねて
るし、砂利で進まなくなるしで、下手なアドベンチャーツアーより、
よっぽどアドベンチャー。

そして、車が止まると、さくらこの目に入ったのは

・・・お寺・・・。

!!!???

はい〜?? 

理解不能のまま、Tに降りるように言われると、お寺の奥には
ちいさな東屋がいくつもたてられていて、白い衣を着たおばあさんが
たくさんいた。これって、これって…老人ホーム?!

頭が!!!???のまま、ひとつの東屋に連れて行かれると、
そこには見覚えのあるおばあさん…って、Tのかーちゃんじゃんっ!
そこで初めて、正気になる。

は、ハメやがったなー。

マンゴスチン狩りという名の、老人ホーム訪問だなんてぇー!
しかし、山のてっぺんのお寺老人ホームという、何だか崇高な場所
で逆切れするのも、その静寂をブチ壊すようなんで、ここは穏便に
笑っておりましたが、これじゃどっからどう見ても、お母さんをお
見舞いに来た、息子一家じゃんっ!
いや、わかってるんだけどさ。お母さんを安心させてあげたいって
のは。でも、だからって、マンゴスチン。。。

5分ぐらい、東屋に座っていましたが、なんというか不思議な場所
で、おばあさんたちは、その小さな東屋の中で、寝泊りし、自炊し
ているんですよね。質素な食料と漢方らしき薬は、お寺から至急さ
れているようです。タイの老人はこんなところで暮らす人もいるん
だなって勉強にはなりましたが。。。

お怒りのさくらこを見て、さすがに申し訳ないと思ったのか、Tは
市内からちょっと離れた場所にある、国立公園に連れて来てくれま
した。ここはカオソック国立公園という名前で、自然の湖があり、
ダムになっている。名前はRachabapha Lake。丁寧に手入れされて、
花がいっぱいの園内と豊かな湖の風景がとても美しい。観光の名所
でもあり、ゴルフ場やバンガローなどもある。



丘の上にあるレストランで食事をしましたが、そこからの眺めも見
事。南国の強い日差しを照り返す、色鮮やかな花に縁取られた、湖
の風景。タイ人の観光客らしい人がバスで来ていました。
この湖から運河に流れる水も美しく、橋の上から見ることができま
す。ボートツアーなども出ているようです。

奥にはいると、カオソック・リバーサイドコテージという名前の
バンガローと、レストランがある。ここは川べりにつくられていて
もうカンッペキに森の中!コテージも、これこそコテージというよ
うな、蚊がブンブンに入ってきそうな、ナチュラルタイプ。でもベ
ッドの上にはちゃんと蚊帳がついていて、西洋人には大人気なんだ
そうです。ここからはいかだ下りもあって、猿とか、鳥とか、ヘビ
とかが、いかだに乗りながら見れるという。象のりは少し離れた所
にあり、もう周りなにもない広大な敷地の中を、のんびり歩きます。
ここは滝まで象さんが入っていけるので、
なんだか感動ものの象乗りができます。



スラタニについては、バンコクやバタワースなどに向かう鉄道の中
間地点であったり、サムイ島やパンガン島へいくフェリーの発着所
だったりと、旅の中間地点という認識が一般的で、宿も店もそれな
りにあるけれど、わざわざ観光に来る人は少ないと聞いて、もった
いない!!こんな美しいところもあるんですよ。

でも、つけたしのように最後に寄ったマンゴスチン畑。
まだぜんぜん実が緑じゃん!!

Tいわく

「来月は食べごろになるから、その時もう一度連れてくる。」

だと・・・。
きっとまた老人ホーム訪問と、娘を懐かせるのがメインなんだろう
が!結局収穫したのは、とうもろこしミルク3本だけ。
カントリーにキメキメのファッションも虚しく、私のマンゴスチン
狩りは不発に終わりました。

やっぱりマンゴスチンは、市場で買おう・・・。



スラタニ人情旅行記・完結編(2003年7月)

プーケットにあるコテージというのは、やっぱりどこかオシャレで垢抜
けた雰囲気を持っています。海辺のコテージというのは、多少ボロであ
ってもその景色にカバーされるものなんでしょうか?
今回さくらこが「うおおっ!」と思ったコテージは、山奥のコテージ。
木と葉っぱで作られた、ジャングルの中にあるコテージです。

そのコテージはプーケットではなく、スラタニ県、カオソックにありま
す。最近ずいぶんスラタニずいてるじゃねーかー。。。と思われるかも
しれませんが、スラタニのご紹介も、これが最終回です。 実はTのお
母さんが亡くなったのと、さくらこがOJと婚約したことで、Tとスラ
タニに行く機会は、残念ながらもうないと思われます。
今回のコテージ紹介は、スラタニ人情旅行記・最終章と合わせて
書いてみたいと思います。

先週末のこと、仕事のこととか、私生活のことでパンパンになって、タ
ウンにあるバスステーションから、イキナリ長距離バスに乗り込んで、
フラリ一人旅に繰り出しました。
行き先は考えず、土日の二日間、気ままにバスを乗り継いで行こう、
泊まるところも行き当たりバッタリで・・・ということで、まずは近場の
パンガー行きのバスに乗り込みました。

プーケットからパンガー行きのバスは、エアコンバスで65バーツ。
ほぼ一時間おきに出ています。バスは広々として、結構キレイ。
そして、乗客の90%以上がタイ人です。
実は長距離バスに乗るのは、10年住んで初めての経験。TVもついて
て、乗り心地も良く、こりゃあいいと、最初は思いましたが
…おそいよーーー。
自分で運転したら、パンガーまで1時間の距離が、バスだと
1時間45分かかりました。

とりあえず、どこに行くか考えないと。。。と思い、何度か行った
KOKLOYのガソリンスタンドで降りて、とうもろこしミルクを飲ん
で考えることにした。
ひとりぼんやりしていると、とうもろこしミルクを売っている、
コーヒースタンドのお姉さんが、電話を持ってきて「お電話です。」という。
ちょっとビックリしながら、電話にでると、Tだった。

ななな、なんでここにいるの知ってるんだー??

と思ったら、コーヒースタンドのお姉さんが、私のことを覚えていて、
ひとり思いつめた様子だったから、Tに電話したのだそうだ。(タイ人
はいい意味でも、悪い意味でも、とっても世話やきな人種である。)
Tは仕事でカオラックに来ていた。近いのでこれから来るという。
本当は一人で考え事したかったんだけど、Tとドライブするのも、これ
で最後だろうし、少しだけ、時間を分けてあげることにした。
それから40分ぐらいして、Tはジープに乗ってやってきた。

そういえば、マンゴスチン狩りをしていなかったよね。

そんな話になって、カオソックまでドライブすることにした。
パンガーの県庁タクアパーで買い物をして、車で1時間程、車の中では
何だか無口でした。Tのお母さんのために演技したこととか、今は母親
の元にいる娘のこととか思い出して、多分これが最後のスラタニへの
ドライブだって、わかっているから、そんな寂しさもあってだと思います。

カオソックは山の中にあります。滝や国立公園、山と小川にかこまれた
静寂な風景は、プーケットで見るそれとはまるで違います。果樹園には、
たくさんのランプータンの木がなっており、車の窓から手を伸ばして、
実を取って食べることができます。



プーケットでは今1キロ7バーツ、10バーツで買うことができ、さほ
どありがたみのある果物ではないのですが、やはり木になっているもの
を、素手でもいで、そのまま口に入れるのは格別のものです。思えば
オレンジを食べた時から、さくらこはもぎたてフルーツにすっかり
心を奪われてしまったものです。

カオソックを取り巻いているのは、山と水です。Tが案内してくれたと
ころは「カオソック・リバーロッジ」。コテージの近くにいくだけで、
水の流れる音が聞こえます。ジャングルの中に、オレンジ色の高床式コ
テージが、水の上にひとつひとつ建っているので、水上コテージのよう
になっている。素朴だけど、自然の中に溶け込んだ、贅沢さがあります。
カオソックでは、多分ここが一番、雰囲気も環境も、設備も良いコテー
ジという話。他にも国立公園の中にあるコテージ、滝の近くにあるコテ
ージなどがありますが、水上コテージという贅沢さをもっているのはこ
こだけです。一泊600バーツ。いくつかのコテージと、レストランが
ひとつあります。ここからいかだに乗った川くだりのツアーに参加する
こともできます。近くにはレストランと、コンビニ、国立公園への入り
口も歩いてすぐです。



部屋は水シャワーのみ。TVもラジオもないのですが、川の流れる音が
終わらないBGMになってくれます。ベランダにいると、川の中に浮か
んでいるよう。周りはジャングルで、一体ここはどこ? という気分に
させられます。

夜になると、川の流れる音のほかに、草が揺れる音や、虫の鳴き声が聞
こえてきます。
そして蛍が舞い、大きな蛙が顔を出す。
コテージの従業員は、ロビーにあるハンモックで寝ていて、猫と遊んで
いる。何もない、闇だけの夜を、都会育ちの私はどう過ごしていいのか
わからない。
と、Tはスタッフのひとりからギターを借りてきて、川べりのレストラ
ンで、タイの流行歌などをいくつか弾いてくれた。それがとても上手で、
何だか泣けました。

川の流れの中で眠るのは、心地よくて、永遠に起きたくない気分にさせ
られました。

Tはリバーロッジから、数キロはなれた、知り合いのもうひとつの
コテージに泊まり、翌朝、私はそちらを尋ねました。
「カオソック・リバーサイドコテージ」。レセプションに行くと、ホテ
ルオーナーらしき人が、Tと一緒にお茶を飲んでました。なぜかその人
の肩の上には、手長猿!大人しい手長猿が、すーっと肩の上で、目をく
りくりさせていました。か、か、可愛い〜。
ここには小さな手長猿、大きな黒い手長猿、中ぐらいの白い手長猿の
3匹がいましたが、どこかから捕獲した訳ではなく、なんとなくここに
いついて、懐いてしまったらしい。



ここのコテージは、林の中にあるタイプで、メインレストランは、川べ
りに作られていました。いい眺めだなぁーと、しばし川を眺めてぼーっ
としていたら、口の黄色い、体の黒い、南国風の鳥が一匹。建物の梁を
伝って遊んでいるが、なぜか私のすぐそばに近寄っては離れてを繰り返
してる。明らかに興味を示しているよう。面白いなぁと思いつつも、知
らん顔していたら、イキナリ頭上に体当たり!!

ぎゃーーーーーーーーーーっ!!!

叫ぶさくらこのもとに、ギボンを頭に乗せたオーナーが慌てて走ってき
た。激痛にうずくまっていたら、鳥をわっしと捕まえたオーナーが、

「悪い子はおしおきだ!!」

と言って、紐を持ってきて、足にくくりつけて、軟禁していました。
でも、本当は、この鳥、危険な奴ではなくて、さくらこと遊びたいだけ
だったらしい。うおーっ!痛いナンパにあったもんだ!



このオチャメなコテージは、WEB SITEもありますので、見て
みてくださいね。コテージの他、カオソックのご紹介もあります。

KHAO-SOK RIVERSIDE COTTAGE
Thaguapha-Suratthani RD Phanom District Suratthani 84250
TEL/FAX 077-395027

http://www.khaosok.net


ふらり一人旅ではなかったけれど、一人でこんなジャングルの中には
来れなかったし、まあこれはこれで良かったかもしれません。
プーケットからは、カオソックへの1デイツアーや、これらのコテー
ジ宿泊と観光がついたパッケージツアーもあるようですので、山の中
でリラックスしたいという方は是非ドウゾ!

最後に山が一望できる展望台から、もやに煙る山の景色を見下ろした。
やっぱり今回も、マンゴスチンは青いまま。でも、もうTとこうして
ドライブすることも、採れたて果物を食べることもないんだろうな。

そう思うと、やっぱりちょっと寂しかった。さくらこは、多分このま
まTと一緒にいたら、きっと、彼を好きになる。いや、そう思うとい
うことは、既に好きになっているのかもしれない。だから、青いマン
ゴスチンが色ずく前に、離れたほうがいいんだよね。

スラタニは、さくらこにとって、特別な土地になりました。
色んな人生を見て、それぞれ胸に秘めた思いがあって、さくらこの中
にも、たくさん考えて、感じたことが詰まっている思い出の場所です。
帰り、Tはパンガー県の県庁タクアパーのバス停留所まで送ってくれ
て、また長距離バスに乗って、プーケットに帰ってきました。

Tがバスを見送りながら言った、最後の言葉は

「See you next life」

いつかまた、結婚したあとに、一人ふらりとここに戻ってくるのかも
しれないなぁ・・・などと思いながら。その時は、青いマンゴスチン
のことを考えて、ちょっと感傷に浸るのかもしれません。



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